「スパイスカレーにトマト缶を入れたら酸っぱい!」
トマト缶をスパイスカレーに使ってみたら、酸っぱかったり、味が強すぎたり……そんなことありませんか?
その原因として考えられるのは2つ。
1.使いすぎ 2.加熱が足りない
今回はそれらがなぜ起こるのかと、それを防ぎ、解決するための方法を考えてみたいと思います。
はじめに
スパイスカレーにはトマト缶をおすすめするというこの記事はありがたいことにたくさんの方に読んでいただいています。ありがとうございます。
その中で、「スパイスカレーにトマト缶を使うと酸っぱい」とか、「トマト缶の味が強すぎる」という声がありましたので、それにお答えすべく、今回はその解決策を考えてみます。
原因として考えられるのは、上でも挙げた通り、
1.使いすぎ 2.加熱が足りない
の2つです。
それぞれ、どうしてそれが起こるのかを考えてみます。
1.「トマト缶の使いすぎ」の原因
トマト缶は大抵400gで売られていますが、大家族でトマト煮でも作らない限り、これは大ボリュームです。生のトマトでも1個100~150gぐらいが一般的なので、かなりの量だと分かります。
とはいえ、トマト缶は開けたら元に戻せません。どうせ開けてしまったのだから、使ってしまおうとなるのが人間の性。そして、2人前ぐらいのスパイスカレーなのに、ドバッとトマト缶をIN……
自分の失敗談~トマト缶使いすぎ編~
ここで自分の失敗談をひとつ。
2年前ほどに、自分は友人の家にお呼ばれし、スパイスカレーを作ってふるまう機会があったのですが、そこで失敗をしてしまいました。
トマト缶を入れすぎてしまったのです。
出来上がったのはトマト感強すぎの酸っぱいカレー。一応、友人は「おいしい」と言って食べてくれましたが、自分としては、「こんな酸っぱいもの出してしまい、申し訳ない……」という気持ちで一杯でした。
どれだけ入れたかというと、2人前のスパイスカレーにトマト缶を半分、つまり200g入れたのです。
ちょうど2つのフライパンで、同時に2種類作っていたので、「トマト缶を半分ずつ入れれば使いきれるな!」と入れてしまいました。
出来上がったのはトマトが勝ちすぎてしまったカレー。友人には申し訳ないことをしてしまいました。
それ以来、トマト缶を封印してしまっていたのですが、スパイスカレーを続けるうち、トマトピューレや生のトマトではいくらなんでもコスパが悪いだろうと、トマト缶に踏み切ることを決意しました。
じゃあ、どうやって使いすぎを解決したのかと言えば……
1.「トマト缶の使いすぎ」の解決法
トマト缶を開けたあと、もう元には戻せないからと、一気に使い切るのをやめれば解決します。
トマト缶の使用量を2人前のスパイスカレーで1回80~100g程度に抑え、100均で買ってきた小分けができるタッパーに1回分ずつ、4~5個に分けて冷凍することにしました。
デジタルスケールの上なら快適です。スパイスや塩の細かい(0.1g単位)計量にも使えておススメです。トマト缶やスパイスをこぼしても洗えるので安心。
缶を開けて小分けにする作業は、最初面倒かもしれませんが、そこで分けておけば、それから4~5回はトマトをいちいち量ることなく、解凍してフライパンに放り込むだけでよくなります。
これは思っていたよりも快適で、スパイスカレーを作る上での心理的ハードルを下げることに成功しました。
というわけで、トマト缶の使いすぎを防ぐ方法は、
「缶を開けたら1回分80~100gに小分けして冷凍する」(2人前のスパイスカレーの場合)
ことです。
めちゃくちゃアナログですけど、これが確実なのかなぁと思います。
「開けたあと戻せない」というのは、紙パック入りのトマト水煮だと、ある程度は解消できるとは思います。
2.「トマト缶の加熱が足りない」原因
トマト缶はトマトの水煮ですから、すでに一度火が入っています。
だから、スパイスカレーを作るときにトマトを入れたあと、あまり火を入れなくてもいいだろうと、すぐにスパイスを入れてしまう……
これが原因だと考えられます。
これまた自分の失敗談をひとつ。
自分の失敗談~トマト缶の脱水編~
スパイスカレーのトマトをトマト缶に切り替えてすぐのこと。量は80gしか入れていないのに、なぜかトマト強めで酸っぱい……ということが起こりました。
それまではトマトピューレを使っていたので、トマトの水分を飛ばすという作業をほぼスキップできていました。
これはトマト缶にはないトマトピューレの利点です(一方で焦がしやすい)。
ですが、トマト缶に切り替えたので、トマトの水分を飛ばす作業を行うことになり、「こんなものかな」とスパイスを投入してカレーを作ったところ、トマトが酸っぱい!
トマト缶の脱水が足りなかったのです。
なぜこんなことが起きたのか、自分の考えはこうです。
生のトマトなら、「火を入れなきゃ」という意識が向くのですが、トマト缶なら、「もう火が入っていて柔らかいからいいかな」と思ってしまったのです。
というわけで、以後はトマト缶の脱水を徹底するようになりました。
2.「トマト缶の加熱が足りない」の解決法
目安になりそうなものをお見せすると、下の写真の通りです。
「トマト、玉ねぎが油と一体化するように馴染み、オレンジ色の油が浮き出ている状態」を自分の基準としています。
ここまで水分を飛ばせば、トマトの酸味は落ち着き、旨みとまろやかさが引き出されます。
ぐつぐつと音を立て始めると、「もういいかも」と思ってしまうのですが、そこでもうひと踏ん張り。ヘラでフライパンの底をなぞり、水気が出てこなくなるまで、根気よく水分を飛ばしましょう。
「カレーロード」ができて、油とトマト、玉ねぎが渾然一体となっていればOK。油のオレンジ色も見逃さないで!
※「カレーロード」は東京カリ~番長さんの命名
「根気よく」とは言いましたが、時間としてはそんなに長くなく、4~5分の出来事です。というのも、火加減は強めの中火~強火で水分を飛ばすため。
一番必要なのは火加減を強く保つ根気かもしれません。
というわけで、「トマト缶の加熱が足りない」ことの解決法は、
「ぐつぐつ煮立ってもまだ脱水し、油とトマト、玉ねぎが渾然一体となるまで強い火加減で加熱する」
ことです。
こっちもなんだかアナログかつ、力業ですが、技術向上に勝るものなしです。
まずはこのカレーのレシピで試してみてください。
トマトの脱水前の玉ねぎ炒めについても書きました。
Ex.クエン酸も原因の一つかも(2022/11追記)
原材料に注目。
最近、トマト缶を少し良いものに替えました。
というのも、80円ぐらいで買っていたトマト缶が、加熱すれば大丈夫だったものの、ちょっと嫌な匂いがしたことがあったので、一度それをやめて、150円ぐらいの「有機」を謳うトマト缶に替えてみました。
すると、たっぷりトマト缶を使った料理でも酸味がくどくなく、美味しいトマト料理になったのです。
原材料欄を見てみると、150円ぐらいのトマト缶にはクエン酸が入っていませんでした。
トマト缶の酸味の原因の一つは、このクエン酸が握っているのかもしれません。
トマト缶のクエン酸については、こちらの方のブログ(↓外部リンク)が参考になります。
どのみち、生のトマトを使うよりもリーズナブルに使えますし、小分けするならばなおさら。
ちょっと良いトマト缶にするのを考えてみるのもいいのではないでしょうか。
結論
スパイスカレーのトマト缶が酸っぱい原因
スパイスカレーのトマト缶が酸っぱい原因は
1.使いすぎ 2.加熱が足りない
の2つが考えられます。
トマト缶が酸っぱくならない解決策
解決策は、
1.使いすぎ
→「トマト缶を開けたら、元に戻せないからと使い切るのをやめて、2人前のスパイスカレーなら1回分80~100gに小分けして冷凍する」
2.加熱が足りない
→「トマト缶は火が入っているからと脱水せずに次の工程に進むのではなく、油とトマト、玉ねぎが渾然一体となるまで強い火加減で加熱して脱水する」
となります。
どちらも、人間の心理がそうさせてしまうのです。自分も同じ失敗をしてきました。ぜひ自分の経験が皆さんの素晴らしいスパイスカレーライフの一助になればと思います。
トマト缶は悪くないので、ぜひ使ってあげてください。
↓ダイスカットされていますが、ホールトマト缶に使われるサンマルツァーノ種です。
クエン酸不使用なら、たっぷり使ってもしっかり加熱すれば酸味がキツくありません。
スパイスカレーのレシピもぜひご覧ください(カテゴリーに飛びます)。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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