「オープンサンド」を初めて食べたのは、IKEAだったと思います。
サンドなのに、挟んでない。「揚げない唐揚げ」みたいな、一言のあいだに矛盾をはらむ謎の一品。
パンと具があれば人は何でも挟んでしまうこの世の中で、挟まずに具を載せるだけなんてこれ如何に?皿に寝かせた平べったいパンをキャンバスとして色とりどりの具で描くさまは「映え」重視の今らしいな、と少し距離を置いていたのですが、IKEAで見かけて、食べずに文句言うのは筋違いと思って食べてみました。
挟むのをやめてだらりと寝そべり、中身を開陳した姿は、秘めたる部分を見てしまったようでこちらが恥ずかしくなったのだけど、オープンサンド自身は至って平気。むしろ堂々としている様子です。サンドイッチと違い、中身を隠してごまかすなんて一切できないから、具材タップリに彩られながら横たわるオープンサンドは「ワタクシにやましいことなんてなにもありません」と、その腹蔵ないさまを誇ります。
そんなオープンサンドの姿に心打たれた僕は、次にパン料理をするなら、オープンサンドと決めていました。
で、今がその時です。
特売で、鶏もも肉も鶏むね肉も両方安い日があり買い込んだので、チキンオープンサンド2種といきましょう。
家のハーブを、剪定の度にドライにしていたら結構溜まってきたのでパン粉と混ぜ、「ハーブパン粉のチキンカツ」にします。ちょっと昔、親が生協でよく買っていた「チキン香草焼き」を彷彿とさせる、さっぱりとしたむね肉にハーブの馥郁たる風味があとを引くチキンカツです。
家庭菜園のプランターで育ったレタスミックスも収穫の盛りで採り放題。これも生かさない手がありません。
もう一つは、家にどっさり余っているスパイスを使った「チキンティッカ」を作りました。「タンドリーチキン」の骨なし、一口大バージョンです。
下に敷くのは関西のホットドッグでお馴染みのカレーキャベツなんてどうでしょうか。
秋植えのディルがようやく収穫できるようになってきたので、ディルマヨネーズも添えてみました。
ハーブパン粉のチキンカツのオープンサンド
ハーブパン粉のチキンカツオープンサンドの材料
【材料(2~3人前ぐらい)】
・鶏むね肉・・・1枚
〈ブライン液〉
・塩・・・・6g
・砂糖・・・6g
・水・・・・200cc
・小麦粉・・・適当
・溶き卵・・・1/2個分ぐらい
〈ハーブパン粉〉
・パン粉・・・・・・適当
・オレガノ・・・・・適当
・ローズマリー・・・適当
・タイム・・・・・・適当
(ハーブはすべてドライ)
・油・・・鶏むね肉が1/3~半分浸かるぐらい
・リーフレタス・・・適当
・粒マスタード・・・ひとさじ
・食パン
・バター
ハーブパン粉のチキンカツオープンサンドの手順
1.鶏むね肉は2~3口大で厚み1.5cmぐらいの大きさにそぎ切りにして、〈ブライン液〉に一晩ぐらい浸ける。
2.〈ハーブパン粉〉を作る。
市販のパン粉にドライハーブを手で揉んで少し細かくして混ぜる。
このとき、食パンの耳を落とし、フードプロセッサーやミキサーにかけてパン粉を作ってもよいでしょう。
3.〈ブライン液〉を捨て、ザルなどに上げて鶏むね肉の水分を切る。
小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせて〈ハーブパン粉〉をつける。
4.フライパン(できれば小さいもの)に油を注ぎ、160℃ぐらいに熱してチキンカツを揚げ焼きにする。時々ひっくり返し、両面がしっかり色づくまで揚げる。
5.食パンは好みでトーストし、バターを塗り、リーフレタスを載せてからチキンカツを載せる。好みでマスタードを添える。
ブライン液で下味がしっかり入るので、チキンカツに追加の味付けは要りません。そのまま美味しく頂けます。が、パンの上に載せるとちょっと味が欲しくなるかもしれないので、そのときはケチャップとかオーロラソースを添えるとよいでしょう。
パン粉はつくりたての生パン粉がやっぱり美味しい。食パンをそのままフープロにかけるのは抵抗があるかもしれませんが、パンの耳なら大丈夫ですよね?
チキンティッカのオープンサンド
チキンティッカのオープンサンドの材料
【材料(2~3人前)】
〈チキンティッカ〉
・鶏もも肉・・・・1枚
・塩・・・・・・・肉の重さの1%
・牛乳・・・・・・大さじ1
・レモン汁・・・・小さじ1
・ケチャップ・・・大さじ1/2強
スパイス(全てパウダー)
・クミン・・・・・・・・小さじ2ぐらい
・コリアンダー・・・・・小さじ2ぐらい
・ターメリック・・・・・小さじ1/3ぐらい
・カイエンペッパー・・・小さじ1ぐらい
結構辛いと思うので、好みで減らしてください。
・クローブ・・・・・・・小さじ1/3ぐらい
〈カレーキャベツ〉
・キャベツ・・・2枚ぐらい
・カレー粉・・・小さじ1/4ぐらい
・塩・・・・・・ほんの少し
・油・・・小さじ2~大さじ1
・ゆで卵・・・・2~3個
〈ディルマヨネーズ〉
・ディル・・・・・好きなだけ
・マヨネーズ・・・好きなだけ
・レモン汁・・・・ちょろっと
・食パン
・バター
チキンティッカのオープンサンドの手順
1.鶏もも肉は唐揚げサイズに切り、塩~クローブまでの材料を入れてマリネし、一晩置く。
2.鶏肉は焼く前にできるだけ室温に戻しておき、フライパンに油を熱し、皮目を下にして焼き始める。焼き目がついたらひっくり返し、火を弱めてフタをし、しばらく蒸し焼きにする。
鶏肉に火が通ったら取り出す。
3.フライパンが黒く焦げていなければそのまま〈カレーキャベツ〉を作る。
フライパンの汚れがひどい場合は洗ってから再度油を敷く。
キャベツは一口大にちぎるか切り、塩、カレー粉を振ってしんなりするまで炒める。
4.ゆで卵は少し硬めに茹でて輪切りにする。
〈ディルマヨネーズ〉の材料を全て混ぜておく。
5.食パンは好みでトーストし、バターを塗る。〈カレーキャベツ〉を載せて、チキンティッカを載せる。ゆで卵の輪切りを載せて、最後に〈ディルマヨネーズ〉を添える。
ヨーグルトを常食しない家庭なので、チキンティッカを漬ける際牛乳とレモン汁で代用してしまっていますが、全く問題ないように思います。
チキンにゆで卵にマヨネーズと、腕白な一品です。恥じらいを捨てて、大きく口を開いて、がぶりといきましょう。
おわりに
パンで挟む、となると、挟んだパンが崩れないように具の厚みやら、密着具合やらを勘案する必要があり、切ったときの所謂「萌え断」なんてものまで考慮に入れ始めたら、もう挟む前に頭がパンク。身動きが取れなくなってしまいます。
「オープンサンドなんて気取ってまんな」と思っていた僕も、自分で作るなら、断然オープンサンド派。パンの上に具材を置いていくだけだから、作るハードルがぐっと下がり断然身軽に。挟むのをやめるってだけでこんなにもラクになるなんて!
ハーブやスパイスをお手持ちならぜひ。盛り付けに気を遣わなくていいので、その面では気楽に作れますよ。
おまけ~レタスサラダが食べ放題~
夏はマクワウリを育てていたちょっと大きめのコンテナにレタスを撒いたところ、無限収穫編が開始したと思うほど、わんさかレタスが茂っています。
これならばもう、この冬レタスを買わずに済みそう。
最初は収穫のやり方を調べずに一株丸ごと根っこから引き抜いてしまいましたが、外の大きくなった葉から順に採っていけば、長持ちしますね。
このオープンサンドを作った日は結構収穫してレタスが余ったので、レタスサラダで食べました。スーパーで買うと一体いくら!?こんな贅沢できるのも家庭菜園ならではですね。
ディルマヨネーズが余ったので添えてみました。
夏は往々にして採れすぎるディルは冷凍保存が便利です。
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