0033 減塩減塩いうとりますが

百汁百菜

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 今回の内容は、医師の指導のもと、塩分を控える生活を送られている方にはあてはまらない、ということをあらかじめ申し上げておく。

 さっそくだが、一汁一菜の味噌汁に使う味噌は、減塩タイプはやめたほうがいい、というのが僕の持論である。減塩ブームでなんでもかんでも塩を減らそうと動くが、あったほうがいい塩分もある。その一つが、味噌の塩分である。味噌汁を減塩しようというのは、ほかにご飯が進むようなおかずを用意するのが当たり前で、サブの味噌汁のほうで帳尻を合わせようとするがゆえの発想だろう。
 前回でも言ったように、僕が味噌汁を作るときは、出汁の素に煮干しか鰹節を使い、あとは味噌だけで味付けをしている。出汁パックや顆粒の出汁の素は使わない。ここで、減塩味噌を使ったらどうなる。まったく味のしない、ご飯の進まない味噌汁ができあがる。
 一汁一菜の味噌汁はおかずを兼ねるように、具を多めにつくる、というのもまた減塩味噌を薦めない理由だ。「ご飯の進む味噌汁」というのに違和感を覚えるむきもあろうが、おかずの量が多いのならともかく、だいたいいつも漬物数切れ、佃煮ちょっと、みたいなおかずの量だから、味噌汁におかずの役目を半分以上担ってもらわないといけない。味噌にはきちんと味をつけてほしいので、塩分があったほうがいい。
 たまにベーコンやソーセージ、練り物が味噌汁に入ることがある。そういうときは味噌の量を控える。減塩されたものをベースにするのではなく、普通の塩分の味噌を用意し、そこから量を調整するのが僕のやり方だ。

 顆粒の出汁の素を使うと、よりおかずになる味噌汁になるのではないか、という意見もあろう。昔は僕も使っていた。確かに「美味しい」し、ご飯に合う味噌汁になる。だが、あれにも無視できないほどの塩分が入っている。さらには砂糖の類や酵母エキスまで入っているから、そのまま飲んでも「ガツンと」出汁がおいしいものになる。この味に慣れてしまったら、たぶん鰹節だけ、昆布だけでとった出汁をそのまま飲んでも、物足りなく感じてしまうだろう。ちょっとあれは「美味しすぎる」のだ。そして、これを使っている限りは、確かに「減塩」の発想がでてこよう。
 だから、ああいう顆粒の出汁の素を使うときは、味噌か出汁の素の片方、もしくは双方を減塩にするのがよいのだろう。

 僕は「美味しすぎる」味噌汁はあまり好まないほか、煮干しをそのまま食べてタンパク質不足を少しでも補いたいとおもっているので、煮干しを愛用している。夕食を一汁一菜に切り替えて少し経ったころ、歯茎についた傷がいつまでも治らないことがあって、調べてみたらタンパク質不足だろう、ということであった。味噌にもタンパク質は含まれているが、それでは足りなかったようだ。それからは意識してタンパク質を取り入れようとしている。油揚げを入れる、卵を落とす、肉の類をたまには入れておく……放っておくと数日肉を食べていないということもあったので、煮干しは僕の味噌汁に欠かせないのだ。

 減塩が多いといえば、梅干しもそうだろう。近頃は10%ぐらいがメジャーというが、はちみつ梅干しに至っては5%ほどだとも聞く。冷蔵庫の存在で保存食の塩分は随分と低下しただろうが、それにしてもはちみつ梅干しの塩分は低すぎやしないか、とおもう。冷蔵庫に入れていてもそんなに保たないレベルだろう。
 昔の梅干しは塩分20%ぐらいだったという。父が紀州で買ってきた梅干しがやたらと「鹹い」のは、おばあちゃんが昔ながらの製法で作っていたからだろう。しかし、それを食べると腹の底からパワーが湧いてきたものだった。昔の人は日の丸弁当でも十分に活力を得られていたのだろう、と推察する。

紀州の巨大梅干しは昔ながらの「しょっぱ~い」味|ハセガワタクミ
父親が和歌山で梅干しを買ってきた。 一般的なサイズの梅干しと、でっかい梅干しの2つ。 でっかいほうは、見ているだけでもその肉厚さが伝わる。でっぷり、ふっくら。 あまりにも立派だからさぞいい店で買ったのだろうと思っていたら、寺のそばで無人販売していたという。しかも1パックなんと100円。 よく見ると皮に斑点のようなもの...

 最近では「減塩チャーハン」というのも出たらしい。でも、あれはもう食べられたものではなかった。カリウム塩を使うほかに、葱油などの深い香りを強調することによって口にしたときの満足感を上げ、塩分をカバーしようとしているようなチャーハンであったのだが、舌が感じる塩分と、鼻が感じる香りのアンバランスさに、脳が混乱した。結局醤油を垂らして食べたのだから、まったく「減塩」の意味がなかった。そもそも僕はその商品のターゲットではなかったのであろうが、それにしても、ものにはしかるべき塩分というものがあるというのを、減塩チャーハンによってよくよく思い知らされた。

 さて、これからは畑仕事の季節がやってくる。こういうときに、味噌の塩分は心強い。夏でも構わず味噌汁を飲むのはこれが理由の一つである。身体を動かすときこそ、味噌が必要なのだ。
 武士たちは糧食として味噌を重用していたという。有力な戦国武将の領地には味噌どころが多いとも聞く。決して味噌汁は粗末な食事でも、脱成長的な食事のあり方でもない。今も昔も、豊かなエネルギーをたたえた、力の源なのだ。

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今回の一汁一菜

2026/01/29分

ネギと油揚げ入りきのこ味噌汁
大根の梅甘酢漬け
味噌きゅうり
自家製なめ茸

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