0123 ポイントダイスキ!

百汁百菜

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 貯めたポイントで会計の全額を支払えると「やってやった」という気分になる。金で支払うよりもずっと達成感がある。金よりも、日々のサービス利用の代価としてチマチマ集めたポイントのほうが、なぜか愛おしく思えるようなこともあるし、貯金残高よりもポイント残高が増えていくのを見るほうがよっぽど楽しい、ということもある。ポイントが貯まってきたら、今度はそれをいつ使おうか、何に使おうかと考えている瞬間もまた楽しい。
 どうせ同じ金を払うのであれば、ポイントを付与してくれるサービスを噛ませたほうがずっとトクな気がする。いわゆる「ポイント経済圏」に入るのである。ただし、無条件でトクなサービスなんてものはない。
 我々はポイントを提供する企業のサービスを介して種々の経済活動を行い、その際の消費行動のデータなどを提供する対価としてポイントをもらう。そして、ポイント経済圏に入るということは、特定のサービスにコミットするということであり、一種の拘束を受け入れることでもあるのだ。そういうのが癪だというなら現金主義を貫けばよいだろうけど、やっぱり庶民にはポイント制度は魅力的である。
 日々やってくるメールマガジンや、アプリの広告が鬱陶しいと思うことだってある。それでも払った金にいくらかの還元があるというのは、1円すらも惜しい一般庶民の僕にとって利用の動機としては十分だ。いかに高い金を出して買ったかを自慢するよりも、いかに安く買えたかを自慢する文化圏にいるというのも後押ししているかもしれない。

 100円で1ポイント貰えるサービスは喜んで使う。200円で1ポイントのサービスはちょっとケチやなあと思いながらも、条件次第ではポイントが増えるのでたまに使う。200円で2ポイントのサービスは柔軟性がないなあと思ってやや敬遠気味。
 ポイント経済圏戦争は今、携帯キャリアとくっついてさらに熾烈な囲い込みが行われている。携帯キャリアを自由に動かせるようになってしまったことでユーザーを引き留められなくなったから、ひとつのポイント経済圏にユーザーを幽閉して、それに紐づいた携帯回線のほうも逃さないようにする策略だ。
 今、外食チェーンや小売チェーンの多くはあらゆるポイントに対応しているけれど、そうでない個人店、地元スーパーなどでは特定のポイントにしか対応していないということもある。サービス提供側からすればひとつの経済圏に釘付けにしたいだろうけれど、ユーザー目線からすればいくつかのポイント経済圏を並行して利用するのがいい。
 ありがたいことに、ひとつのポイント経済圏が天下統一するのではなく、群雄割拠の様相を呈しているおかげで、各社ユーザー獲得のために様々な還元やキャンペーンを打ち出し合っている。ひとつのポイント経済圏に縛られるのではなく、いくつか並行して経済圏に入っておけば、それだけ得が増えることもある。ただし、あまりにも散らしすぎてどこにもまとまった額のポイントがないというのは避けたいから吟味はしよう。

 ポイントはどかっと貰えれば貰えるほどいい。新規加入者を対象にしたポイントやクレジットカードの支払いに対するポイント、キャンペーンの条件を満たしたときのポイント。また、携帯回線を乗り換えた際にもポイントを貰えることがある。そうしたポイントがどかっと付与される日が近づくとそわそわしてくる。
 3ケタのポイントを貰えばうれしくなり、4ケタのポイントを貰えば飛び上がり、5ケタもポイントを貰ってしまえば有頂天になって左うちわを振り回す。
 すでに支払った金に対する還元であったり、サービス利用の対価であるということは理解しているものの、ポイント残高が増えれば気は大きくなるし、ポイントで支払うのは金を使うよりもずっと心に優しく、ちょっとの贅沢を自分に許してしまいたくなる。無駄なものは買わないようにしようと粘るけれど、「ちょっとぐらいええか」という気持ちになってしまう。ポイントに有効期限があればなおさらだ。でも、そのおかげでなかなか購入する踏ん切りの付かなかったものを手に入れることもできたから、やっぱりポイントサービスはありがたい存在だ。今使っているパソコンもスマホもほとんどポイントを使って買っている。本当にポイント様様。ポイント大好き!

 だが、いくらポイントが大好きでも、自分にとって必要のないサービスを受けてまでポイントを貰うというのは避けたい。たとえば、携帯回線のいわゆる「ポイ活プラン」に僕は入らない。ポイントの還元率が上がる代わりに先に高い金を払うのというのはさすがにできない。僕はそこまで決済回数が多くないからあまり得をしないというのもある。
 また、高額ポイントをちらつかせるキャンペーンにはたいてい裏がある。「数千ポイント獲得のチャンス!」とメールが来たと思えば、その条件が「リボ払いに切り替え」だったりするとげんなりする。
 高額ポイントを餌にユーザーを引き摺り落とそうとするような罠はいたる所に仕掛けられている。我々は冒険映画のようにタイルやレンガに怪しいところがないかよく確かめ、スパイ映画のごとく赤外線センサーをかけて、張り巡らされた糸を避けながらポイント経済圏を渡り歩くことを求められる。ポイント経済圏群雄割拠時代をうまく乗りこなしたければ、そうした経済圏に飛び込んでいく大胆さと、落とし穴を避ける慎重さを兼ね備えていなければならない。

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