うちの庭に落下傘部隊が降りてきている。
ちょうどガクの、おかっぱ頭にも見えるあの部分がパラシュートのようで、集団をなして降りてきている。
あるいは緑のシャワーというべきか。森林浴でマイナスイオンを身に受けながら「緑のシャワーを浴びている」なんて言ったりするけれど、うちの庭には文字通り緑のシャワーがぶら下がっている。降ってきている。下から見上げるともうそれは壮観なんだけど、あんまりそういうの写真に写すと、ご近所さんの家まで映り込んじゃうから、写真を貼るのはやめときます。
(我が家としては)大豊作の甘長唐辛子
というのも、庭に地植えした甘長唐辛子が、10月後半を迎えていよいよ最盛期を迎えているのです。
そのひょろりとした実が群れをなして垂れ下がっている様は、まさに雨が降るごとく。採っても採ってもキリがなく、とうとう一日に一株から40本も収穫する日が出てきました。
家庭菜園でこれはもう大変。一気に食べるしかないわけです。冷凍しておく手もありますが、生憎冷凍庫に余裕なし。それに、甘長唐辛子の身上はあの青い風味。シャキっとしたうちにあれを愉しみたい。
そんなわけで、前の「麺特集」なんかもやったりしたわけですが、それでもまだまだ食べるのが追いつきません。そこで次に考えたのが、キーマカレーに炒めた大量の甘長唐辛子を後入れすること。甘長唐辛子の風味を残しつつも、一気に食べられる策というわけ。
ひき肉と甘長唐辛子だけでは少し寂しいので、ころんと余っていたメークインもコロコロと賽の目に切って、すこし油でカリッとさせれば、キーマの中で独特の存在感を放つだろう……と思ったわけです。
出来たキーマは水分飛ばしたドライ仕様。グツグツ煮込んで甘長唐辛子の青さをくすませたくないし、食感を残したい。
その狙い通り、シャキっとした甘長唐辛子の食感がひき肉と米を噛む中に彩りを添えます。そして甘さとその中からちょいと顔を覗かせる苦みが口内を整え、複雑な味を醸し、時折現れるクミンシードとカルダモンに挨拶をしていたら、あっという間にお皿の上には静寂が訪れました。
じゃがいもがほどよく入ることでお腹も満足。でもちょっと名残惜しさがあって、また食べたい感じ。うむうむ。これは久々にいいカレーができたなんて思っていたけど……
結局、寝かせたほうがうまい
残ったカレーを数日後に食べるとまた違う感想が。
作りたての具材、スパイスが各々の存在を主張する味も悪くないけど、結局寝かせてから食べた味のほうが一体感が出て好きだったのです。
バチバチにホールスパイスを効かせたカレーを褒めそやす風潮があったと思うけど、結局こういう調和が取れたとか、一体感のある味を僕の舌は歓迎します。時折噛んだスパイスが挨拶してくれるぐらいでよく、ホールスパイスが奏でるヘヴィメタルの口内ライブは遠慮したいな。
そうやって自分の好きなカレーの想念が固まったところで、「今一度ご飯が進むカレー」を掲げていた「dancyu」2023年8月号のカレー特集に再び目を通せば、当時は「迷走始めていよいよスパイスカレーブームも末期か」なんて思っていたけど、今読めば肯える部分が多い。
やっぱり米に合うカレーは、スパイスの香りが突出してなくて、円みがあって、それでちょっと寝かせたやつだな。
甘長唐辛子のドライキーマカレーの作り方
材料
材料(3人分は取れるはず)
・ひき肉・・・・・300g(僕は鶏と豚を2:1でミックス)
・じゃがいも・・・皮むき前200g、皮むき後160g
・甘長唐辛子・・・33本(150gぐらい)
・玉ねぎ・・・・・・・150g
・ホールトマト缶・・・80g
・にんにく・・・・・・5g(みじん切り)
・しょうが・・・・・・10g(みじん切り)
・油・・・大さじ2ぐらい
(適当に入れたので覚えてませんが、ケチらないほうがいいです)
・塩・・・7g〜
〈ホールスパイス〉
・クミンシード・・・・・・ひとつまみ
・セロリシード・・・・・・適当
・カルダモン(ホール) ・・・5個
サヤから中の粒を取り出し、その粒を使う
〈パウダースパイス〉
・クミン・・・・・・・・8g
・コリアンダー・・・・・8g
・カイエンペッパー・・・3g
辛いのが苦手なら減らしてください
・ターメリック・・・・・2g
・クローブ、シナモン、八角・・・合わせて1g
僕は上の3つを合わせてミルで挽いたものを常備しています
・水・・・・100cc
・醤油・・・ほんの少し、香りづけ程度に
手順
1.甘長唐辛子はヘタを取って食感が残るぐらいの長さに切る。
じゃがいもは皮を剥いて食べやすい大きさのさいの目に切る。
フライパンに油とじゃがいもを入れて表面がカリッとするまで焼く。
甘長唐辛子と量った塩の中から2つまみぐらい入れて炒めて、甘長唐辛子のよい香りが立ってきたら火を止める。
2.空のフライパンに油を熱し、〈ホールスパイス〉を入れて香りを立たせる。
薄切りにした玉ねぎと塩を2つまみぐらい入れて表面が色づくまで強火~強めの中火で炒める。
分量外の水を100ccぐらい注いで炒め煮し、水分が飛んだらまた色づくまで炒める。このときにヘラで玉ねぎを潰す。
玉ねぎ炒めについてかなり端折っているので、詳しくはこの記事をご覧ください。
にんにく、しょうがを入れて炒めて香りが立ったらひき肉を入れて炒める。
ひき肉の余分な水分が飛んだら火を弱めて〈パウダースパイス〉を入れて炒める。
3.スパイスとひき肉が馴染んだら火を戻してトマトを入れてよく馴染ませるように炒めたら、水100ccを注いで沸騰させ、5分煮る。
煮込み時間が残り2分ぐらいになったら1.のじゃがいもと甘長唐辛子を戻し入れる。
カレーの水分が飛ぶまで炒めたら、醤油を鍋肌に注いで香りを立たせ、ザッと全体を炒め合わせたら完成。
作ってすぐ食べてもいいけど、一回冷ましたほうが美味いと思います。2回楽しめるって意味なら、食べ比べてみるのもアリでしょう。
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