0092 YouTubeはやりません

百汁百菜

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 誰にも期待されていないのは承知で言うけれど、YouTubeはやりません。理由は簡単。やる気がないから。ブロガーがスケールしようと思うとやっぱりYouTubeへと移行していくのがお決まりなのだろうけど、僕はスケールしようとおもっていないので、YouTubeはやりません。
 一時期ガジェット集めにハマっていたときがあり、そのときはよく「ガジェットYouTuber」なる人々の動画をよく見ていたけど、だいたいがブロガー出身だった。お決まりのセリフは「ブログ時代は〜」で、自意識はもうブロガーではなくYouTuberであるかのようだ。ちょっとその界隈で知られるようになったブロガーが次のステージに選ぶのはやはりYouTube。文字と写真だけの伝達能力には限界があるし、なによりYouTubeドリームを掴めるかもしれない。100万人はいかなくても、10万人ぐらいに伸ばせれば結構な収益になるだろう。文字と写真よりも、もっと多くの人へ届く媒体で、より多くの収入を目指してブロガーたちはYouTubeへと羽ばたいていく。

 そうして巣立っていったブロガーを尻目に、僕はブログにしがみつく。しがみついてとうとうこのブログは5周年を迎えた。そもそも僕がYouTubeをやったところで、僕のやっている内容は動画よりも文字を好む層との親和性が高いだろうし、僕自身も文字のほうを好むから動画に走る気は毛頭ない。例えばレシピでも、よっぽど特殊な料理でなければ、材料と量だけ分かれば作り方はだいたいわかる。こんなときに動画は長ったらしくて見ていられない。文字があれば、欲しいところだけをササっとつまんでいけるのに、とおもうことは常である。
 ショート動画なんてもはや論外である。チャンネルを伸ばすためならもはや必須らしいのだけれど、そういうところで引っ掛けた人がコミットしてくれるかどうかはかなり怪しい。ただでさえ動画を作らないといけないのに、さらにショートまでとなると、日常の全てがYouTubeに支配されていく。こうしてフルコミットを要求してくるのが気に食わない。
 そもそも一人で喋るのがめちゃくちゃ下手くそで、台本どおりにしか喋れないのでYouTubeには向いてない。思考のスピードも遅く、言葉を紡ぐのにかなり時間がかかる。間やフィラー(「うーん」とか「えー」など、言葉を発する前や、言葉と言葉の間を埋める発声のこと)をカットして早く喋ってるふうに見せることもできるけど、この虚無の作業に自分が耐えられる気がしない。こういのって要するに自分をよく見せたいがための努力でしょう。他人がやってるのはまあ別にやったらええやんっておもうけど、自分でやるとなると途端にしょうもなくなる。

 それに引き換え文章はいい。じっくり温めてから世に放つことができるし、もっといい表現が見つかったら、容易に編集できる。喋りながら気づくこともあるけど、そもそもの思考体系が文字に依っているから、僕が考えたそのままを出力しやすい。エクリチュール(書き言葉)だからこそ出てくる言葉たちはまさに表意文字の面目躍如で、書き手が、少ない文字数で表される言葉の中に込めた意味を読み手が解放するところに文字のやりとりの醍醐味がある。易しい言葉でよりわかりやすく、という要請があるのは知っているけれど、意味の出し入れの快楽の前には却下せざるを得ない要請だ。ご寛恕かんじょを。

 追い風?のように感じられているのは、あまりにも知識の取得手段が動画、ショート動画偏重になりすぎていた反動か、本やテキストへの回帰が起こり始めているということ。いわゆる「令和人文主義」の旗手たちが「やっぱり本を読め」ということを主張しはじめている。彼ら自身が本やテキストの書き手なのだから、そんなのただのポジショントークだと思う人もいるかもしれないが、読み手側だってこの動画偏重ぶりに十分危機感を感じているのではないか。
 ショート動画を見ているだけで休日の時間が溶けてしまい、大いに後悔する人たちの嘆きがよく耳に入ってくるようになった。デジタル・デトックスも度々話題になる(度々話題になるということは、まだ世間のスタンダードにはなっていないということだ)。また、短期的な成果や方法論を重視するビジネス書よりも、じんわりと自分の足場を固めていけるような人文書が求められるフェーズに移行しているようにも見える(ここで、「人文書は役に立つ」だの「人文書は武器だ」というような功利的視点からの言説も出てきているが、「人文書は(すぐには)役に立たない」と言っておきたい)。この流れに乗れたら……なんて思っていないといえば嘘になる。けど、僕には華もなければ実績もない。ただこの百汁百菜を積み重ねていければ今のところはそれでいい。YouTubeに構っている暇なんてない。

 以上見苦しい「YouTubeやりません」の言い訳でした。お目汚し失礼。

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今回の一汁一菜

2026/04/20分

キャベツ・ほうれん草・油揚げの味噌汁
大根と鶏肉の煮物

キャベツ、ほうれん草、大根は畑で採れたもの。

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