スーパーの精肉売り場を覗いたら、値引きされたブランド豚がずらりと並んでいた。
彼らはいわば豚肉界のエリートであり、周りよりもよい食べ物を与えられ、広いスペースも与えられて丹念に育てられたのだろう。
彼らの身の色は他に比べてグッと赤く、しっかり運動して身に旨みを蓄えてきたのが伺える。
が、丹念に育てられたが故に価格競争に敗れて売れ残り、その身の赤はくすみ、値引きシールでラベルを覆われ、他の豚肉と同等の値段となってしまっていた。
値段と味、どちらを取るのか。
私はブランド豚を躊躇いなくカゴに放り込める身分ではないから、丹念に育てられたが故の悲しみが起きる前に、彼らを掬いとれはしない。
ただ、せめてその日は、ブランド豚のうち生姜焼き用のお肉を連れて帰ることにした。
値引きされるまで置かれていたから、鮮度に期待はできない。豚肉の味がダイレクトに来る食べ方は避けておこう。
とりあえず買ったその日のうちに、生姜と玉ねぎをすりおろし、酒と醤油で漬け込んでおくことにした。こうして漬け込んでおけば、なんとかなる。
豚肉の生姜醤油漬けのレシピ
【材料(2人分ぐらい)】
・豚肉・・・・200g
・生姜・・・・10g(すりおろし)
・玉ねぎ・・・50g(すりおろし)
・酒・・・・・大さじ2
・醤油・・・・大さじ1
【手順】
ステンレスやホーローのボウル、保存容器に材料を全て入れて混ぜ、ラップをぴっちり豚肉に張り付けて冷蔵庫で保存する。
今回はロース肉でしたが、こま切れ肉でもOK。
容器についてですが、匂いがつくのでプラスチック製のボウルはおススメできません。
翌日は生姜焼き丼
翌日はそのお肉をそのまま焼いて生姜焼き丼にすることにした。
漬けこんだ液には、お肉が古かったからか、ドリップがたんまり出てしまっている。
火を入れるとタンパク質のぶよぶよが出てきてしまって、タレにはできないから、別途タレを仕上げにつくってかけることにした。
豚肉の生姜焼き丼の材料
【材料(1人前あたり)】 ・豚肉の生姜醤油漬け・・・100g ・油・・・小さじ2~ ・キャベツ・・・・お好きなだけ(千切り) ・ご飯・・・・・・お好きなだけ ・マヨネーズ・・・むにゅっと ・七味唐辛子・・・数振り 〈タレが必要なら〉 だいたいの比率で表記します ・酒・・・・・1.5 ・醤油・・・・1 ・みりん・・・1
豚肉の生姜焼き丼の手順
1.丼にご飯を盛り、その上に千切りにしたキャベツを載せておく。
2.フライパンに油を敷いたら、豚肉の生姜焼き漬けを焼く分だけ取り出して広げる。
そこから中火にかけて、片面に軽く焼き目をつける。
ひっくり返して裏はサッと焼き、丼に載せる。
このとき、古いお肉だったり、ドリップが出たお肉だと、タンパク質が凝固したぶよぶよのようなものが出てくる場合があります。食べても問題はありませんが、あまり見た目がよろしくないのでペーパーで拭いましょう。
3.タレが追加で必要な場合はタレの材料をフライパンに入れてひと煮立ちさせ、丼にかける。
マヨネーズを絞って七味唐辛子をかけたら完成。
うちの生姜焼きは甘くない、かつ小麦粉をまぶさないタイプ。母の好みがそうだったので、私もそのタイプを好んでいる。
甘と辛でいえば、「辛」に少し偏ったこの味が、いかにも我が家の味という感じで懐かしく思うような味わい。
とはいえ、母の味そのままだと、ちょっと生姜が辛すぎるので、玉ねぎを加えてマイルドに。
さらに甘くする場合は砂糖を漬け込むときに入れておきましょう。みりんは身が締まってしまうからダメ。
*****
今回買った豚肉はロースの生姜焼き用。
私は脂が乗った肩ロースを買うことが多いけれど、今回はロースで正解。
なんてったって、ブランド豚のロースだから、赤身の味が濃くて旨い!
漬け込みの効果でしっとり柔らかいから、大きなお肉のまま丼に載せても箸がスッと通る。
そして、少し古くなってしまっていても、生姜や酒に漬け込んでおけばカバーできる範囲で嫌な臭みがないのが、さすがブランド豚。
新鮮なら、塩だけ振ってステーキにすればさぞかし旨いんだろうけど、なかなか手が出せないや。
豚肉とナスの味噌炒めへの展開
そのまた翌日は、残りのお肉をナスと共に味噌炒めにした。
醤油の下味のまま焼いても旨いが、味噌味に展開することもできるので、豚肉の生姜醤油漬けが冷蔵庫にあると心強い。
サッとできる夕食のおかずのほか、弁当にもきっと役立つはず。
豚肉とナスの味噌炒めの材料
【材料(1.5~2人前)】 ・ナス・・・・・・・・・・・250g ・ピーマンや甘長唐辛子・・・50g ・豚肉の生姜醤油漬け・・・・100g ・油・・・・・・・・・・・・大さじ1〜 〈合わせ調味料〉 ・味噌・・・・20g ・豆板醤・・・3g ・みりん・・・大さじ1
豚肉とナスの味噌炒めの手順
1.ナスは縞目に皮をむき、乱切りにしたらサッと水に浸けてアクを抜く。
ピーマンや甘長唐辛子はだいたいナスと大きさを合わせて切る。
豚肉の生姜醤油漬けは大きいお肉の場合、食べやすい大きさに切る。
〈合わせ調味料〉の味噌・豆板醤・みりんはあらかじめ混ぜておく。
2.フライパンに油を熱し、ナスを皮目から焼く。
皮の色が鮮やかになったら取り出す。
フライパンの油が少なくなっていたら補い、豚肉の生姜醤油漬けを入れて火にかける。
片面に焼き目がついてきたらひっくり返し、ピーマン、もしくは甘長唐辛子を入れて炒める。
ピーマンに油が回ってきたらナスを戻し入れ、味噌・豆板醤・みりんを混ぜた〈合わせ調味料〉を入れて炒め合わせたら完成。
豚肉にしっかり下味が付いているから、味がビシッと決まる。
そして、トロトロのナスにまったりピリ辛味噌が絡んでご飯が進む、進む!
そのまま焼いてもいいけど、野菜と一緒に炒めればすっかりごちそう。
ちょっと古くなっていても臭みを消せばちゃんと美味しいし、いろんな料理に化けられるから、豚肉を生姜に漬けときゃなんとかなる。
おわりに
夕食のおかずが決まっていなくて、ぼんやりしているような状況でも、とりあえず豚肉を生姜に漬けておけば、「そのまま焼く」「野菜と焼く」「野菜と味噌炒めにする」などいろんな選択肢を取れるので便利です。
また、ちょっといいお肉だけど、鮮度が落ちて値引きされていたら、こんなふうに調理の工夫で救ってあげてください。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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