はじめに
薄味のスープと侮るなかれ。
こんにちは。ハセガワタクミ(カルダモン26)です。今回はスリランカのココナッツとスパイスを使ったスープ、「キリ・ホディ」(スープ単体の呼称)にゆで卵を加えた「卵のホッダ」をご紹介します。
軽い酸味とスパイス感の、スッキリとした飲み口のスープに日本の出汁を加え、しみじみ飲めるスープが完成しました。
このレシピについて
インドにはゆで卵のカレーがあるというのは知っていて、それに着想を得た「ココナッツエッグマサラ」というのを作ったことがありました。
香取薫さんの本「家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理」の中で見つけた「卵のホッダ」も、それと似たようなものかと思って作ってみたら、全くの別物でした。
卵のホッダは薄味!?
粒マスタードとゴラカ(後ほど詳述)の柔らかい酸味で飲み口がよく、ほどよいスパイス感に身体が喜んでいるよう。
ココナッツのコクとゆで卵が絡まり、満足感もあるスープでした。
でも、かなり薄味。
それもそのはずで、朝にライスやパンなどと合わせて軽く食べるときに供されることもあったり、病み上がりの人でも負担なく食べられるように作られているからです。
このあたりに関しては、こちらの記事を参考にしました。
薄味と侮るなかれ
キリ・ホディが薄味な理由が分かれば、それをリスペクトし、崩さずにアレンジします。
元々かつお節(モルディブフィッシュ)が入ることもあり、旨みはあるのですが、ここは日本なので出汁を加えてみます。昆布も加えて下支えに。
さらに追いがつおをして旨みを出したら、薄味で優しい印象はそのままに、飲みごたえのあるスープができました。
かつお出汁de卵のホッダのポイント
薄味の中にある酸味と旨みを感じ取って
この「卵のホッダ」、そしてスープ単体のときの呼び名、「キリ・ホディ」は、薄味で作るのがキモ。
粒マスタードとゴラカから来るやや酸味のある味わいに、ちょっとスパイス感があって、食欲減退気味のときでも、するりと入っていきます。
今回はその「キリ・ホディ」を日本の出汁でアレンジ。
かつおと昆布で出汁をひき、さらに追いがつおで旨みを追加。
優しい味わいはそのままに、出汁の旨みでしみじみ飲めるスープになりました。
ゴロンとゆで卵を入れて「卵のホッダ」にしたら、お腹も満足のスープになります。
野菜の副菜と相性抜群
スリランカでは「キリ・ホディ」を朝にライスやパンといただくようですが、カレーを中心に副菜を盛り合わせたスリランカ料理のプレートに添えてもまたおいしいです。
酸味のあるすっきりとした味わいはカレーの箸休めになってくれるだけでなく、野菜の副菜たちとライスが混ざったところにかけるともう抜群の相性。
副菜にない出汁感が追加され、副菜からは塩気をもらい……とお互いに補いあってこれがまたおいしいです。
スッキリとした味わいで、スルスルとライスも野菜の副菜も進み、お腹いっぱいいただけます。
ゴラカがいい仕事をします
ゴラカはスリランカで使われる、酸味のある木の実を干したものです。
酸味と燻製香を併せ持つ独特の風味はクセがあり、人を選ぶかもしれませんが、この「キリ・ホディ」および「卵のホッダ」ではいい仕事をします。
酸味のあるスッキリとした飲み口を粒マスタードと共に演出するだけでなく、燻製香がスープに奥行きをもたらしてくれます。
スーパーでお目にかかることはまずないと思うので、入手経路としてはスパイス輸入業者の通販となってしまいます。
ですが、「酸味と燻製香」を併せ持つという、なかなか代用の効かない食材なので、興味があればぜひ。
かつお出汁de卵のホッダの材料
【材料(2杯分)】 ・ゆで卵・・・・・・・・2〜3個 〈キリ・ホディ〉 ・かつお出汁・・・・・・250cc ・ココナッツミルク・・・50cc ・塩・・・・・・・・・・3g ・粒マスタード・・・・・小さじ1/2 ・トゥナパハ※・・・・・小さじ1/2 (なければ辛みのないガラムマサラで代用する) ・胡椒・・・・・・・・・小さじ1/4 (テーブルコショウで◎) ・ターメリック・・・・・小さじ1/4(約1g) 〈ゴラカの下準備〉 ・ゴラカ・・・2片(大きいものなら1片) ゴラカがなければレモン汁小さじ1を加える ・水・・・・・50cc 〈仕上げ〉 ・ココナッツミルク・・・50cc ・かつお節・・・・・・・1g 〈かつお出汁〉 ・昆布・・・・・3~5g ・水・・・・・・400cc ・かつお節・・・5g ※トゥナパハはスリランカのミックススパイス。買うほかに自作することも可能。
かつお出汁de卵のホッダの手順
【手順】
0.(前日準備)ゴラカを使う場合は切りやすいように水に1晩つけておく。
1.卵は常温に戻し、好みの固さに茹でる。ちょっと固めのほうが、のちにスープを注いだときに黄身が流れ出さずに扱いやすいです。
2.ベースのスープ、〈キリ・ホディ〉を作る。
まず水で戻したゴラカを刻む。
その後、〈キリ・ホディ〉の材料(かつお出汁~ターメリックまで)と刻んだゴラカ、ゴラカを漬けた水を全て小鍋に入れて中火にかけ、5分間煮る。
〈かつお出汁〉のひき方
水に昆布を30分以上漬けたら、弱めの中火で沸騰しないように10分以上かけて熱する。昆布を取り除き、一度沸騰させたらかつお節を入れ、3分置いたらザルとペーパーを使って濾す。
この「卵のホッダ」以外にもこのブログで紹介している〈かつお出汁〉を使ったスリランカ料理を作るときは多めに出汁をひくと使いまわせて便利です。
3.仕上げにココナッツミルクとかつお節を入れて、ひと煮立ちさせたら火を止める。
4.お椀に切ったゆで卵を入れ、上から〈キリ・ホディ〉を注いで完成。
ゆで卵はスープで煮込まず、お椀に入れてからスープを注いでください。
スリランカの料理を盛り合わせたプレートと一緒に食べるのはもちろん、朝食などにライスやパンと合わせて。
参考レシピ:「家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理」-河出書房新社 香取薫さんのレシピ
一緒に食べたいスリランカのカレーと副菜
かつお出汁をひいて、じっくり煮込んだチキンカレーは、サラリとした汁気の中に、旨みがたっぷり。かつお出汁を多めにひいて、一緒に作ってみてください。
たくさん作ってモリモリ食べたい、わさび菜のサンボル。
噛むとジュワッとあふれるナスとズッキーニのジューシーさがたまらないココナッツカレー。
おわりに
薄味だからといって侮るなかれ。
粒マスタードとゴラカが織りなす酸味と風味が心地よく、軽いスパイス感で身体が温まります。
さらに日本の出汁を加えてごくごく飲めるスリランカのスパイススープ、ぜひお試しください。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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