はじめに

こんにちは。ハセガワタクミ(カルダモン26)です。
今回は、「腕によりをかけて作るビーフカレー」ということで、たっぷりの野菜で旨みの素を作り、圧力鍋でトロトロになった牛肉を煮込む、お休みの日などにじっくり腰を据えて作りたい、リッチなカレーのレシピをご紹介します。
こんなことを言っていると、めちゃくちゃ時間がかかりそうですが、2口以上のコンロと圧力鍋・フードプロセッサーを駆使すれば、カレー自体は1時間30分~2時間ぐらいで完成しますから、ちょっと挑戦してみませんか?というお誘いです。
じっくり炒めた野菜と牛肉の旨みがギュッと詰まっているのに、後味軽やかでスプーンが止まらない味わいは、市販のルーを使わずに手作りするからの醍醐味。
自分で作ったという達成感もスパイスとなって、より美味しく感じられるかも。
このレシピについて
たっぷりの香味野菜を使うカレーとして、こちらのキーマカレーのレシピをご紹介していましたが、今回はその応用編として、ビーフカレーを作りました。
「スパイスカレー」というよりは、欧風カレーに近い味わいになります。
たっぷりの野菜と牛肉の茹で汁まで使ったグレイビーは、厚みがある甘みと旨みが広がり、食材たちのグルーブ感に酔いしれてしまいそう。
そこから覗くのは、ゴロッとしているのにホロホロのお肉。舌の上でゆるりとほどけていきます。

ジワジワと香り立つスパイスは主張しすぎない量に抑えつつも、しっかり食欲を刺激します。特にクローブと牛肉の相性がよく、深い余韻を残します。
野菜中心だからか、全体的には優しい旨さが広がりますが、ジワっと汗が出てきて気持ち良いです。
グレイビーの後味も軽やかで、後からもたれないのがさらに嬉しい。
夏でも美味しく食べられるカレーだと思います。

ビーフカレーといえば、だいたい私はいつも牛すじ肉を使うのですが、今回は牛すね肉を使ってみました。プルプルなゼラチン質がすじ肉よりは少ないので、肉感がしっかり。そしてなんといっても旨い部位なので、これからも積極的に選びたいお肉でした。
また、豪州産でも十分すぎる旨さに仕上がりました。国産を奮発……!してもいいですが、無理しない程度に。
↓牛すじを使った煮込みカレーのレシピもあります。こっちはほぼ煮込むだけなので簡単。
と、ここまで色々語ってきましたが、このカレーは2日目からが本番です。
作ったその日に食べるのとではまるで違いますから、できるだけ一晩寝かせてください。どうかお願いです。
初日は味にまとまりがなく、軽すぎて話にならないレベル。でも、一晩寝かせれば見違えるほどコクが出てきます。
どうしても初日に食べたいときは、ウスターソースを加えてください。
腕によりをかけて作るビーフカレーの作り方
あったほうがいい道具
材料の前に、あったほうがいい道具を紹介。
今回は手間がかかるので、時短できるアイテムは惜しみなく投入しましょう。
・圧力鍋
これがないと、牛肉を1時間や2時間煮込まないといけなくなります。
フードプロセッサー
大量に野菜を細かくするなら、やっぱりこれ。たっぷりのにんじんやりんご、セロリを手ですりおろしていれば、後の体力が持ちません。
ガラスorホーローの保存容器
一晩寝かせることでよりおいしくなるこのカレー。冷蔵庫に鍋が入る余裕があればいいのですが、そうでない場合は保存容器に小分けにして冷やしましょう。
ガラスやホーローの保存容器なら、カレーの匂いにも、トマトの酸にも強いから、安心して入れることができます。
腕によりをかけて作るビーフカレーの材料

【材料(4~5人前)】 ・牛すね肉やすじ肉・・・400g目安 今回はすね肉400gを使用 ・水・・・・・・・・・・500cc ・しょうがスライス・・・2~3枚 ・にんにく・・・・・・・10g(2~3片・潰す) ・ネギの青い部分・・・・1本分 ・にんじん・・・200g ・りんご・・・・100g ・セロリ・・・・100g ・ベーコン・・・50g ・玉ねぎ・・・200g(くし切り) ・塩・・・・・2g ・トマト・・・200g ・サラダ油・・・20g~ 〈ルゥ〉 ・サラダ油・・・10g ・バター・・・・10g ・小麦粉・・・・20g 〈パウダースパイス〉 ・クミン・・・・・・・・5g(約小さじ2) ・コリアンダー・・・・・4g(約小さじ2) ・ターメリック・・・・・1.5g(小さじ1/3強) ・カイエンペッパー・・・2g(約小さじ1) 辛いのが苦手な場合は半量以下にする ・クローブ・・・・・・・0.5g(約小さじ1/3) ・ローリエ・・・1枚 ・塩・・・・・・9〜10g 〈仕上げのパウダースパイス〉 ・カルダモン・・・・0.5g(約小さじ1/4) ・ガラムマサラ・・・1g(約小さじ1/2) その他、差し水が別途400~500ccほど必要です。
腕によりをかけて作るビーフカレーの手順
1.牛肉を煮る。
牛肉とかぶるくらいの水を入れて火にかけ、沸いてきたら茹でこぼす(アクごと湯を捨てる)。
牛肉を軽く洗ってキレイにし、鍋の中も水でサッと流す。牛肉の大きい部分は半分ぐらいに切る。
(ここまでは任意で行う)


圧力鍋に牛肉、水500cc、しょうがスライス、潰したにんにく、ネギの青い部分を入れて火にかけ、湧いてきたら、アクを取る。
アクを取ったらフタを閉めて圧力をかけ、圧力を維持できる火加減で30分煮る。
30分経ったら、圧力鍋の圧を抜けるのを待って開ける。



2.牛肉を圧力鍋で煮ている間、野菜を炒める。
にんじん、りんご、セロリはフードプロセッサーやチョッパーなどで細かくする。
ベーコンはみじん切りにする。
玉ねぎは大きめのくし切りにする。トマトはざっくり大きめに切る。
フライパンにサラダ油を10gほど入れ、ベーコンがカリカリになるまで中火で炒める。
その後、にんじん、りんご、セロリを入れてさらに炒める。水分が飛び、軽く焦げ目がついてきたら差し水を100cc注いで溶かす。
注いだ水分が飛び、またカラッとしてきたら一度取り出す(便宜上、ここでは野菜ペーストと呼びます)。




油を10g足して中火にかけ、玉ねぎと塩2gを入れてサッと馴染ませたら、端っこが軽く焦げてくるまであまり触らずに炒める。
差し水を150ccぐらい注ぎ、炒め煮する。木ベラで潰せるようになってきたら潰しながら水分を飛ばす。
水分が飛んで、また焦げ目がつき始めたらもう一度差し水を150ccほど注ぎ、また炒め煮しつつ玉ねぎを潰す。




水分が飛んで玉ねぎと油に一体感が出てきたら、先ほど取り出した野菜のペーストを戻し入れて炒め、馴染んだらトマト入れて水分を飛ばし、ペースト状にする。
トマトの皮が気になるならばここで取り出しておく。私は特段気にならないのでそのままにしました。
トマトの水分が飛んで一体化したら取り出す。




3.〈ルゥ〉を作る。
フライパンにバターとサラダ油、小麦粉を入れ、フライパンで弱めの中火で熱する。
軽く茶色くなってくるまでよくヘラでかき混ぜながら炒める。
〈パウダースパイス〉を入れて火を止めたらしっかり混ぜる。




だいたいこのあたりで牛肉の煮込みが終わり、圧力鍋の減圧が済んで開けられるようになります。

4.カレー完成へ!
牛肉は気持ち大きめの一口サイズに切る。
茹で汁の中のしょうがスライスとネギの青い部分は取り除く。にんにくはそのままでOK。
大きめの鍋に1.の牛肉とその茹で汁(全量)、2.のペースト、3.の〈ルゥ〉、ローリエを入れる。できればこのときに全体の重さを量っておく。
私の場合は1300gほどでした。
すでに玉ねぎを炒めるときに塩を2g入れているので、今回は塩を10gに。
ここで量った全体の重さ次第で、塩の量を加減してください。


鍋を中火にかけ、よく混ぜながら煮る。
沸いてきたら弱火で30分、フタを少し開けて煮る。
煮ている間、底が焦げつかないように、5分に一度は必ずかき混ぜる。
煮込み時間が残り2分になったら、カルダモンとガラムマサラを入れて混ぜる。


味見して足りなければ塩を補う。寝かせると塩味がしっかり立ってくるので、少し控えめにするぐらいが◎
鍋は火からおろし、鍋ごと冷やせるならば水につけて急冷する。
無理な場合はガラスやホーローの保存容器に小分けにして水につけて粗熱を取ったら、冷蔵庫に入れて一晩寝かせる。
一晩寝かせることで味が完成するカレーなので、できる限り一晩寝かせてください。どうしても作ったその日に食べたいなら、ウスターソースを軽く垂らしてください。
5.一晩寝かせたら、レンジや鍋で温めて食べる。残っているローリエを見つけたら取り出す。
お好みで軽く塩をした焼き野菜、あるいはらっきょうや福神漬けなどを添えてお召し上がりください。

旧レシピはこちら
元々の「煮込みビーフカレー」のレシピはアップデートが必要と考え、新たなレシピを書き起こしましたが、旧レシピも独自の味わいがあるので、下に折りたたんでおこうと思います。

煮込みビーフカレーの材料
【材料(2〜3人前)】カッコ内の小は小さじを指す ・牛肉・・・200g(お好きな部位) カレー用肉、ステーキ肉、ほほ肉など…… ・塩・・・・2g ・ブラックペッパー・・・10粒(ミルで挽く) ・小麦粉・・・小さじ1 ・油・・・・・・・大さじ1 ・玉ねぎ・・・・・200g(0.5cm以下の薄切り) ・脱水用の塩・・・2g ・差し水・・・・・50cc ・セロリ・・・・・100g(みじん切り) 〈GGペースト〉 ・にんにく・・・10g(すりおろし) ・しょうが・・・5g(すりおろし) ・水・・・・・・100cc ・ホールトマト缶・・・・150g ・塩・・・・2g ・砂糖・・・小さじ1 〈スタータースパイス〉 ・カルダモン・・・・・・・3粒(サヤを潰して中を使う) ・シナモンスティック・・・1本 ・クローブ・・・・・・・・6粒 〈パウダースパイス〉 ・クミン・・・・・・・・5g(小2) ・コリアンダー・・・・・5g(小2と1/2) ・カイエンペッパー・・・2g(小1) (辛いのが苦手な方はパプリカに換える) ・ターメリック・・・・・1g(小1/2) ・フェヌグリーク・・・・1g(小1/3) パウダースパイスはカレー粉(大さじ1程度)に置き換えても。 〈仕上げのスパイス〉 ・ガラムマサラ・・・・・2g(約小1) ・水・・・300cc
煮込みビーフカレーの手順
【手順】
1.牛肉は小さめの一口大に切り、塩、ブラックペッパー、小麦粉をまぶしておく。

2.フライパンに油と〈スタータースパイス〉を入れ、弱めの中火で加熱する。シナモンスティックから泡が出て、香りが立ってきたら、強めの中火にして玉ねぎと脱水用の塩を入れて広げ、2〜3分放置する。端から焦げてきたら混ぜ合わせ、差し水をして、茶色を全体に広げる。


3.差し水の水分が飛んできて、また玉ねぎが色づき始めたら、〈GGペースト〉とセロリを入れ、水分を飛ばしながら玉ねぎをつぶす。水分が飛び、にんにく、しょうが、セロリの香りが立ってきたら、1.で下味をつけた牛肉を入れ、肉の色が変わるまで炒める。



4.弱火にして〈パウダースパイス〉を入れ、粉っぽさがなくなるまでよく混ぜ合わせる。その後、中火にしてホールトマト缶を入れ、よくつぶしながら水分を飛ばし、なじませる。



5.水を入れて沸騰させたら、弱火にしてフタを少しずらして置き、45分煮込む。途中で数回かき混ぜる。

6.砂糖を入れて中火にし、5分煮込んで水分が飛んだら、味見をして、足りなければ塩を補う。シナモンとクローブを取り出したら、最後にガラムマサラをかけて完成。

おわりに

正直初日の味見段階では「これで大丈夫か?」と不安になりましたが、翌日食べればそんなもの吹っ飛んで、ただただ幸せな時間が流れました。
でも、どんどんスプーンが進むものだから、幸せな時間は一瞬で過ぎます。
空になった皿を見つめ、一抹の寂しさを覚えました。
とはいえ、食べたくなったらまた作ればいい!ということで、今回作った野菜のペーストは、一度に何回分も作って冷凍しておくのがいいのではないでしょうか。
にんじんやりんごの量も1回分だと中途半端だし。
今回のレシピは隠し味らしいものは特に使っていないシンプルな味なので、何度も作って、好みの味わいを完成させてみては。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
〈ルゥ〉の参考レシピ:「ミニマル料理」柴田書店 – 稲田俊輔さんのレシピ「めちゃくちゃおいしい本気の欧風カレー」より
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