はじめに
最近すっかり世の中を賑わせているChatGPT。
私もご多分に漏れず、ブログのネタのブレインストーミングをしてもらおうと思って登録してみました。
真面目にブレインストーミングを依頼することもあれば、関西弁や、江戸っ子口調などの指定をして出力される文章に腹を抱えることもあり、色々楽しませてもらっています(今のところは)。
今のところは、と書いたのは、やはり事実でないことを平然と出力してしまうので、情報汚染のリスクがあるから。
出力された内容に対し、人間がツッコミを入れていかねばなりません。
今回は、そんなChatGPTくんにツッコミを入れる記事です。
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で、投げかけた質問は「スパイスカレー初心者がつまずきがちなことは何か」
なぜそんな質問をしたかといえば、恥ずべきことではありますが、すっかり初心を忘れてしまい、私が初心者のとき、スパイスカレーのどこに困ったり、どうつまづいたかが分からなくなってきました。
これでは、初心者の方に対して何かおススメしようにも、対処法を提案しようにも、的を射たことを言えないなと思ったからです。
近くに聞ける人がいない(SNSはアカウントはあるけどもうやっていないし)というのもあり、流行りのChatGPTに聞いてみれば、何か掴めるかもしれません。
ということで、「スパイスカレー初心者がつまずきがちなことは何か」という質問を投げかけたところ、「割と当てはまりそう」なものから、「いや、そうはならんやろ」という回答もあったので、それらにツッコミつつ答えていきたいと思います。
実際に質問してみた
Prompt
スパイスカレー初心者がつまづきがちなことを教えてください
※質問時は「つまづき」と入力したので、ここではそのままにしている
Answer
※読みやすさを優先して、実際の回答にはない改行を入れている
スパイスカレー初心者がつまづきがちなことには以下のようなものがあります。 1. スパイスの量を調節しないこと: スパイスはカレーにとって重要な要素ですが、量を調整しないとカレーが辛すぎたり、風味が強すぎたりする可能性があります。最初はスパイスを少なめに使って、徐々に加えて味を調整することをおすすめします。
↓ハセガワの回答(吹き出しで表示)↓
—確かにそれはあると思います。
スパイスにも、たくさん入れても大丈夫っちゃ大丈夫なもの(コリアンダーやクミン等)もあれば、たくさん入れると苦くなったり香りが強すぎるバランスブレイカー的なスパイス(ターメリックやクローブ等)もあります。
レシピのスパイスの量を見て、なぜ多めに入っているのか、なぜこのスパイスは少なめなのか、と疑問を抱いたら、そのスパイスについて調べてみる、あるいは実際に使ってみて香りの出方を知ることが重要だと思います。
また、カイエンペッパーなどの辛みを出すスパイスは、2人前に1g(約小さじ1/2)程度入っていても、十分辛さを感じますから、辛いものが得意でなければ、そこの調整は特に慎重になるべきだと思います。
↓スパイスをとことん調べるならこの大図鑑(超分厚い!)
2. カレールーに頼りすぎること: カレールーは簡単に使えるため、スパイスカレー初心者にとって便利な存在ですが、本格的なスパイスカレーには使われません。スパイスを使って、自分でカレーペーストやルーを作ることをおすすめします。
—着地点がいわゆる「スパイスカレー」なら、カレールーを使うことはないと思うけど……
どうしようもなくなったときのリカバリーになら出番はあるかもしれないですね。
3. 香辛料の種類を混同すること: スパイスは多種多様で、同じ種類のスパイスでも産地やブレンドによって味や香りが異なる場合があります。スパイスを混同してしまうと、本来の味や風味が出なかったり、全く異なる味になってしまう場合があるので注意が必要です。
—スパイスといってもやはり植物ですから、野菜の味が産地によって若干違うように、土地によって香りが若干違うというのはあると思います。自分の好みに合うスパイスの香りを見つけたら、その産地をメモしておき、次から買い求めるときにそれを参照するのがよいと思います。
幸い、多くのスパイス店(ネット含め)で産地が記載されていますし、スーパーで売っているビンにも産地が記載されています。
ただ、注意したいのが、同じ名前でも、実はちょっと違うスパイス、特にシナモンの混同があるかもしれません。
シナモンには、大きく分けて「セイロンシナモン」と「カシアシナモン」があり、「セイロンシナモン」は薄めの皮が丸まったような見た目をしており、カシアシナモンと比べて繊細で製菓に向く特徴があります。
一方の「カシアシナモン」は、分厚い皮が丸まったような見た目で、セイロンシナモンよりも濃厚で、野性味のある風味が特徴です。
それぞれ、シチュエーションごとに使い分けるのがよいでしょう。
よく「シナモン」として出回っているのは、比較的安価なカシアシナモンであることが多いです。
セイロンシナモンは若干高価、かつ「セイロンシナモン」と明記されていることが多いので、購入の際には注意しましょう。
4. スパイスを長時間煮込みすぎること: スパイスは熱に弱く、長時間煮込むと風味が失われることがあります。スパイスを加えた後は、適度な時間で火を止めるようにしましょう。
—確かに、スパイスの香り、特にパウダースパイスの香りは飛びやすく、これまで読んだ本の中では「魯珈のスパイスカレー本」では、特にここは気を遣っていて、“パウダースパイスを入れてから煮込むのは5分以内!”というTipsが掲載されていました。
南インドでは、長時間煮込まず、フレッシュな香りを活かすアプローチが主なのだろうと思います。
ただ、世のスパイスカレーが全て短時間煮込みかといえばそうではなく、特にスリランカカレーは煮込み時間を長めに取るものが割とあります。
これはあくまで私の話ですが、むしろ長時間煮てスパイスのトゲが取れ、具材とグレイビーの馴染みがよくなったカレーを好むというのもあり、すっかりスリランカカレーにハマってしまいました。
一概に長時間煮込んではいけない、というわけではなく、どこのカレーを作っていて、どれほどの香りを求めるかで変わる問題ではあると思います。
長時間煮た上でスパイスの香りもしっかりさせたいなら、投入タイミングを遅らせたり、仕上げにガラムマサラなどを加えるのがよいでしょう。
5. カレーに合わない食材を使うこと: スパイスカレーには合わない食材もあります。例えば、生のトマトやレタスはカレーと相性が悪く、味を損なうことがあります。また、肉や野菜の種類やカットの仕方によっても、味や食感が変わるため、適切な食材を選ぶことが大切です。
—生のトマトは合わないことはないと思いますが、レタスは確かに……といったところでしょうか。全く合わないことはないでしょうが、なかなか思いつきもしない食材を持ってくるのでChatGPTは面白いです。
とはいっても、割と何でもスパイスカレーに出来てしまうので、合わない食材を見つけるほうが割と難しいのではないかと思います。
大阪スパイスカレーの界隈では、アッと驚く食材が使われていることもしばしば。
それはそうとして、私がカレーに使わない食材の基準としては、淡い味や繊細な香りを楽しむ食材でしょうか。
それらは無理やりカレーに仕立てなくても……と思うからです。
↓アッと驚くカレーが見つかるはず。
ほかにもつまずきがちなことはないだろうかと、追加で質問をしたところ、5つの回答が出力されました。
さらに質問してみた
Prompt
さらに5つのつまづきがちなことを教えてください
Answer
はい、以下にさらに5つのつまづきがちなことを挙げます。 1. 鍋の底にこびりつかせてしまうこと: スパイスカレーは長時間煮込むことが多く、火加減を調整しないと鍋の底にこびりついてしまうことがあります。そのため、鍋の底が焦げ付かないように、こまめにかき混ぜるようにしましょう。
—これもありがちなことだと思います。
さっき「スパイスの香りが飛ぶから長時間煮込むな」とChatGPTくんが言っていたのは置いておきましょう。
汁気を飛ばして一気に仕上げるならまだしも、スパイスカレーは弱火で煮込むことが多いです。ここを忘れなければ大丈夫。
フライパンの前からちょっと離れる際にも、鼻は効かせておいて、焦げた匂いがしないかは確かめたほうがいいでしょう。
また、度々様子を見に来て、大きめに切ったお肉なんかはそのタイミングでひっくり返したり。
↓これは水気をほとんど加えない、例外のカレー。焦がさないように気を付けて作ります。
2. 味見をしないこと: スパイスカレーは味を調整するのが難しい料理の一つです。そのため、味見をしながら徐々に調整することが大切です。最初から全てのスパイスを入れるのではなく、少量から始めて味見をしながら加えていくようにしましょう。
—これは超重要です。
私も初期はここでかなり失敗しまくった結果、メモ帳にデカデカと「味見する!」と赤で書いたことがあります。
必ず味見をしてください。
ChatGPTの文章ではスパイスで味を調整するようなことが書かれていますが、スパイスカレーは塩で味を調整します。
そのカレーをどういうシチュエーションで食べるかを想像しながら、塩の量を調整しましょう。
例えば、カレーだけをそのまま食べたら多少塩辛くても、ライスと食べればちょうどよいことはよくあります。
また、冷めてからだと塩気が分かりやすくなるので、アツアツで食べない場合はちょっと控えておく……など。
ちなみに、私は稲田俊輔氏の塩分調整に倣い、ある程度最初から塩の量を決めることで、この問題を克服しました。
↓この本の付録部分を読めば、塩の量に迷うことはなくなるはず。
3. スパイスを誤解すること: スパイスは辛いものだけではなく、甘いものや苦いもの、香り高いものなど多様な種類があります。初心者は、スパイス=辛いものと誤解してしまいがちですが、実際にはそれぞれ異なる効果を持っています。
—これはむしろ、スパイスカレーに興味を持っている人はしない(であろう)勘違いで、スパイスやスパイスカレーについて聞きかじった人がする勘違いだと思いますが、どうでしょう。
メディアが激辛ブームに引っ張られて、近年のスパイスカレーブームに対しても、ついつい「刺激」やら「辛い」やらのワードを視聴者に提示するものだから、こういう誤解が広まるのでしょう。
スパイスの多くは刺激感あれど、辛くはありません。
4. カレー粉を使いすぎること: カレー粉はカレーの味を決める重要なスパイスの一つですが、適切な量を使わないと、カレー粉の風味が強すぎて他のスパイスの味が失われたり、味がくどくなったりすることがあります。最初は少量から始めて徐々に加えていくようにしましょう。
—上でも似たようなことを言っていたような……?
というのは置いておいて、何事も入れすぎには注意です。
特にカレー粉はパワーが強いので、控えめに使うのに越したことはありません。
各種スパイスの代用として加える場合、スパイスの合計量をそのままカレー粉に置換するとキツいので、私はまず1/2〜2/3の量にして加えます。
また、カレー粉にも色々特徴があり、フェヌグリークの風味が強いと言われる「S&B赤缶」や、陳皮が多めで柑橘の爽やかな風味が立つ「インデアン 純カレー」など、カレー粉と一口に言っても各社様々なブレンドがあります。
スパイスカレーを作る中で、好みのスパイスを見つけたら、それが効いているようなカレー粉を探ってみるのもよいでしょう。
5. 食材の下準備を怠ること: スパイスカレーには様々な野菜や肉、魚などが使われますが、下準備を怠ると味や食感に影響が出ることがあります。野菜は適切なサイズに切り、肉や魚は適切な下処理を行っておくようにしましょう。また、食材の味を引き出すために、事前にマリネや下味をつけるとより美味しく仕上がります。
—ごもっともでございます。
例えば、鶏もも肉ならば、しっかり筋を取りましょう。食べているときに筋があるとテンションが露骨に下がります。カレーを食べているのに口から出すのはこりごりです。
また、よっぽどいいお肉でない限り、ブライン液(塩と砂糖を溶かした水)に浸けておくのもおススメ。煮込んでもプリっと柔らかく、スプーンでもちぎれるほど。
ヨーグルトやスパイスを溶かしたオイルでマリネするのも手。
魚ならば塩を振っておいたり、霜降りをして臭みを取る、エビは片栗粉と塩で揉んでしっかり汚れを取るなど。
いくらスパイスがマスキングしてくれるとはいえ、臭みの元を断っておくに越したことはありません。
気持ちのよいスパイスカレーを作るためのコツです。
↓ブライン液に浸けて下処理したチキンカレーの作り方です。
ここでは出なかった困りごとについて
ここでは出なかった「スパイスカレーの困りごと」に関しては、これらの記事が参考になるかと思います。
合わせてご覧ください。
↓トマト缶を使ったカレーが酸っぱくなる……なら、火の入れ方や、そもそものトマト缶を見直したほうがいいかもしれません。
↓スパイスカレーにはたいていついて回る玉ねぎ炒め。私なりの方法ではありますが、失敗しにくく玉ねぎを炒められます。
おわりに
たまに「あれ?」っとなる回答が出力されることもありましたが、なかなかいいところを突いてくるなという印象でした。
ちなみに、同じ質問をしても、毎回異なる回答が返ってくるのですが、何回かやっていると、かなりまともな回答が返ってくることも。
まだまだ人間の側でツッコミを入れる必要はありますが、これからどんな進化をしていくのでしょうか。
ChatGPTの今後に、少しの恐怖を抱きつつも、注目していきたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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